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私のジャズ [3] コルトレーンの同世代ジャズ (4)Eric Dolphy

[3] コルトレーンの同世代ジャズ

 

※今まで、各々のミュージシャンについて複数の「私の名盤」を紹介をしてきた。しかし、このまま継続していくと、いつまで経っても先に進みそうにない。そこで今回からは、敢えて一枚限定の「私の名盤」を紹介することにした。


(3) エリック・ドルフィー〜私の名盤

 今回はエリック・ドルフィー(Eric Dolphy/1928.6.-1964.6.29/alto-sax, bass-clarinet, flute, soprano-clarinet, baritone-sax, piccolo/カリフォルニア州出身)を紹介する。

 エリック・ドルフィーはコルトレーンに並んで、今でも私が深く敬愛するジャズ・ミュージシャンであり、コルトレーンとドルフィーの両名自身も、互いに尊敬の念と共に、学び合い切磋琢磨してきた同志仲間であった [註]


[註] ドルフィー遺品のバスクラリネットとフルートは、ジョン・コルトレーンに贈られたらしい。


 Sax/Clarinet/Fluteといったリード楽器をマルチに駆使しながら、一定のコード進行に依る抒情性を湛えつつも、フリーキイなアドリブを展開するドルフィーの演奏は、コルトレーンと共に唯一無二の"私のジャズ〟である。


 こうしたドルフィーの演奏から、「私の名盤」として一枚を選択するのはなかなか難しいが……例えば、Booker Little (tp)、Mal Waldron (p)と共演するライブ録音「At the Five Spot 」も私のお気に入り……敢えて選ぶとすれば、彼が〈bass-clarinet、flute、alto-sax〉を奏でる「Last Date」(1964.6.2/Feat. Misha Mengelberg: p, Jacques Schols: b, Han Bennink: ds)である。

 

 このアルバムは、ヨーロッパ客演中のオランダにおけるスタジオ録音なのだが、ドルフィーは、この録音後1ヶ月も経たないうちに西ベルリンにおいて客死した為(糖尿病による心臓発作、享年36歳)、彼にとって〝最期の公式アルバム〟となってしまった。

 

 このアルバムでは、共演したオランダの若いジャズ・ミャージシャン(当時、3人とも29歳だったと思う)の溌剌としたフリーキイな演奏にも触発されて、ドルフィーの演奏は、より自由闊達・自由自在な音色・音律を響かせつつ、さらに精神的な深みまでを感じさせてくれる。


 そして、このアルバムの最後には「When you hear music, after it's over, it's gone in the air. You can never capture it again. 〜音楽は終わると共に空(くう)に消え、二度と捉えることはできない〜 」とのドルフィーの印象的な言葉(演奏録音とは別のインタビューからの録音)も記録されている。


 やはり、この「Last Date」、エリック・ドルフィーの演奏アルバムとして、唯一無二の「私の名盤」である。



〜続く〜

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