top of page

私のジャズ [2] コルトレーンへの先駆的ジャズ

[2] コルトレーンへの先駆的ジャズ


(1) ビ-バップの時代


 『私のジャズ』を語るにあたって、まずはコルトレーン・ジャズの先達として1950年代にモダンジャズの礎を築いたビ-バップのジャズ演奏家について少しばかり触れたい。なお、今回の『私のジャズ』掲載にあたって記す演奏録音は、CDとして発売されたタイトル名であり( )としてその録音年月を付記する。


 ビバップの時代、チャーリー・パーカー(Charlie Parker/1920.8.-1955.3./altosax)による「THE SAVOY RECORDINGS」(1944~1947)、バド・パウエル(Bud Powell/1924.9.-1966.7./piano)による「The Bud Powell Trio」(1947&1953)、セロニアス・モンク(Thelonious Monk/1917.10.-1982.2./piano)による「Thelonious Monk Trio」(1952&1954)、チャールズ・ミンガス(Charles Mingus/1922.4.-1979.1./bass)による「Pithecanthropus Erectus」(1956.1.)、マックス・ローチ(Max Roach/1924.1.- 2007.8./drums)による「We Insist !」(1960.8.&9.)などの演奏は歴史的名盤とも言われるが、やはり私自身のジャズ史にとっても記念碑的なアルバムである。


 それらの演奏は、今聴き返してみても当時のアフロ・アメリカンが直面する時代状況も彷彿とさせるようにして、迫真的であり、それ故に、本物としてのジャズとの再会を感じとる。とりわけ、ピアノ好きな私としては、バド・パウエルの即興演奏から奏でられる鮮やでスリリングな旋律、そして、セロニアス・モンクの変拍子からなる独特なリズム感のある曲作りには、今でも聞き惚れるばかりだ。


(2) セロニアス・モンクの魅力


 セロニアス・モンク、チャールズ・ミンガス、マックス・ローチらは、コルトレーンル以降の時代にも演奏を残しているが、今でもよく聴くのはセロニアス・モンクである。特に、彼独特の音律が存分に聴けるSolo演奏……「Solo On Vogue」(1954.6.)、「Thelonious Himself - 8トラックの〈Monk's Mood〉ではコルトレーンの演奏も聴ける 」(1957.4.)、「Thelonious Alone In San Francisco」(1959.10.)、「The London Collecion - Disk 1」(1971.11.)……そして、プリミティブな躍動感のあるライブでのTrioやQuartettoによる演奏……「Live At Carnegie Hall 1957 - With John Coltrane」(1957.11.)、「Thelonious Monk In Italy 」(1961.4.)、「Live At The It Club - Disk 1&2」(1964.10.&11.)、「Live At The Jazz Workshop - Disk 1&2」(1964.11.)……は私のお気に入りである。


〔追記/2022.4.10〕久々にセロニアス・モンクの演奏を何度か聴く中で、彼の演奏に潜む過敏とも言える繊細な脆さのようなものに気づいた。その背景には、おそらく彼のプリミティブで純粋な魂にとって、容易には和解し得ない現実的な人生・生活との相克・齟齬があったのではないだろうか。



〜続く〜

bottom of page